和の心

こんにちは。

 

 

美紗です。

 

 

「和をもって尊しとなす(以和為貴)

という有名な聖徳太子の言葉があります。

十七条憲法(西暦604年)の第一条。

 

 

いろいろな訳や解釈はありますが

「和・調和」の心をもってお互い話し合えば自ずから物事の

「理」が通じ不可能なことはない」

と言っていると考えていいでしょう。

 

それを約1300年前から、

国としての大事な価値観として

打ち出しているとすると驚きです。

 

 

英語だと、Cherish the harmony among people

harmony is to be valued ,

harmony is of our top priority などが出てきます。

 

 

しかし、敢えて定義づけると、

「和の心」とは、「個人を重視するのではなく、

 

 

集団における秩序や調和、

また礼儀を重んじること」

ということになります。

 

 

確かに私たちは、世界的に見て、

過剰なまでに「集団主義」を

貫いているといえるでしょう。

 

 

また、集団の中で

相手の意思を読み取り、

波長を合わせて行動をし、

決して争わずに調和を保っています。

 

 

この「調和」は、

「平和」にも通ずる部分であり

2011年に起きた東日本大震災

世界各国が絶賛した点です。

 

 

 

私たちは、互いを信頼し、集団行動での

ルールを守ることができ、

決して他人に迷惑を

かけたくないのです。

 

 

他者を疑わないという世界的にみると

大変なnaive (世間知らず、

だまされやすい、純情)

な心でもあります。

 

 

外交が諸外国に比べて

上手くない理由になるかもしれません。

 

 

この国民性は一方で現代社会において

「個々の個性を潰す」「自己表現が下手」と、

国内外でバッシングされる対象に

なっています。

 

 

確かに第二次大戦後、

西洋思想や文化が

大量に輸入され、

 

 

それらに無意識に影響を受け、

日本らしさと西洋思想の狭間で、

日本人らしい「和の心」は

姿を変えつつあります。

 

 

それでも、第二次大戦直後の日本は、

この「和の心」や「和の精神」で

互いに手を取り合って、

めまぐるしい発展を遂げたのです。

 

 

終身雇用、年功序列、等の言葉が

浮かびます。

 

 

これから先、

西洋式個人主義と日本式集団主義

緩やかに融合していくものと思われますが、

それでもなお「和の心」は、世界の中で、

日本人の美徳として受け入れられています。

 

 

 

和」の精神は、

日本列島に移住した人々を融合させ、

日本民族を形成した原動力でした。

 

 

この世界にもユニークな精神は、

日本の自然の中で

発達したものと言えるでしょう。

 

 

 日本の気候は、

温暖・湿潤なモンスーン型です。

 

 

日本列島は四季の変化に富み、雨量が多く、

照葉樹林を中心とする森林に

覆われています。

 

 

海・山の食糧が豊かで、猛獣が少なく、

大変生活しやすい自然環境です。

 

 

こうした風土が長年のうちに人々に影響し、

「和」を好む性格が

形成されたと考えられます。

 

 

 この性格は、人間だけではなく、

日本の動物にも見られる特徴です。

 

 

 

例えば、日本蜜蜂の群れの中に

西欧蜜蜂の一群を放すと、

日本蜜蜂は平気で西欧蜜蜂と一緒に

同じ蜜を集めて、共存共栄します。

 

 

 

しかし、西欧蜜蜂の一群の中に

日本蜜蜂の一群を入れると、

西欧蜜蜂は襲いかかって

日本蜜蜂を全滅させてしまいます。

 

 

日本の風土は温暖・湿潤で花が多く、

蜜を集める対象が豊かです。

したがって、蜜蜂は新来者とも

共存共栄ができます。

 

 

ヨーロッパの場合は花が少ないので、

共存していたら、蜜が足りなくなって

冬が越せなくなってしまいます。

 

 

同時に、熊蜂など天敵が

ひじょうに多いので、用心が要り、

攻撃的です。

 

 

日本では天敵が少なく、受容的です。

こうした風土の違いが、

日本の蜜蜂の性格を

温和にしているのでしょう。

 

 

 

 日本文化に深い理解を示した

アンドレ・マルローは、

 

 

「日本以外の美術は必ず

何らかの形で闘争が表れているが

日本美術だけは闘争を表していない」

と指摘しています。

 

 

マルローの研究家・竹本忠雄氏は、

この違いを「大陸的~コンチネンタル」と

「非大陸的~ノンコンチネンタル」の違いと

表現しています。

 

 

竹本氏は「日本だけがノンコンチネンタルなのです。

コンチネンタルなものの考え方の特徴は、

ものを対立的にとらえることです。

それは西洋に限らず

 

 

 

日本以外の国はほとんどそうである。

一方、日本人は

対立よりは和合をという国民性なのです」

と言っています。

 

 

 

「非大陸的~ノンコンチネンタル」とは、

海洋的ということです。

 

 

 

日本民族の性格への自然の影響では、

海洋の存在が見逃せません。

 

 

日本は、四方を海に囲まれた島国であり

太平洋、日本海東シナ海などに

全体を包まれています。

 

 

このことが、日本列島のユーラシア大陸とは

異なる自然環境となっています。

 

 

陸地が固定的であるのに対し、

海は、常に躍動して変化に富んでいます。

 

 

船に乗るとわかるように、

海では波が休むことなく上下動し、

潮流が刻々と変化して流動しています。

 

 

また、海は生命発生の場所であり

海には生命のエネルギーが

みなぎっているのです。

 

 

特に日本列島付近では、

暖流と寒流がぶつかりあい、

豊かな漁場が生み出されています。

 

 

 

ユーラシア大陸から日本列島に

移住してきた諸民族は、

こうした海洋の影響を受け、

 

 

大陸型の性格から、海洋型の明るく

陽気で、平和的な性格に

変化していったと考えられます。

 

 

 

 このように、日本の自然は

人間の性格に影響を与え、

独自の民族性を育んできました。

 

 

日本精神の特徴は、

「和」の精神と言われるように、

共存共栄・調和の精神です。

 

 

この精神は、今日の地球で

求められているものです。

 

 

地球は、人類にとって

かけがえのない星であり、

地球という限られた環境で

様々な人種・民族・国民が

 

 

一緒に暮らしていくためには

戦争や対立ではなく、

共存共栄していかなければなりません。

 

 

私たち日本人は、世界にも

ユニークな精神的特徴を発揮し、

世界の平和と発展に貢献したいものです。

 

 

【追記】

 

 

「和」とは、元来「わ」

という音の日本語です。

その「わ」にシナの漢字の「和」が

あてられたわけです。

 

 

 作家の井沢元彦さんによると、

本来「わ」には「環」や「輪」の意味しかなく、

環濠集落(堀をめぐらした集落)を

表す言葉でした。

 

 

それが、集団や仲間の意味を

表す言葉となり、

 

 

シナ人に、自国の意味で

「わ」と言ったところ、「倭」(背が小さい

、体が曲がっているなどを意味)という

文字を当てられました。

 

 

その後、「わ」は、

集団的な協調の精神や

アイデンティティをも意味するようにもなり

 

 

 

日本側の要望により、

国名の文字を「倭」から「和」に

代えてもらったのだろう

と井沢さんは考えています。

 

 

 

さて、かつて日本列島に

住みついた人々は、

「わ」すなわち環濠集落を作って、

小集団が分立していました。

 

 

その小さな集団が段々と国家を形成し、

より大きな国家に統合されていきました。

 

 

 

その過程では、戦争もあったでしょうが、

統合の多くは、話し合いで決まっただろうと

考えられます。

 

 

というのは、日本の神話には、

諸外国に比べて、

戦争の記載が少ないのです。

 

 

日本の温和な気候の影響が

大きいでしょう。

 

 

 

 そして、人々には、

対立・抗争よりも調和・融合を

よしとする「和」の精神が育まれ、

 

 

一つの民族として

融合・形成されてきたと考えられます。